【何年保存?】電子カルテの保存期間は5年間?電子カルテも紙カルテも一緒?
医療現場の記録保持は、患者様の健康を守る上で欠かせません。
医療業界でのデジタル化は日々進化しており、紙のカルテから電子カルテへの移行が進んでいます。
そこで気になるのが、電子カルテは何年保存するのが良いのかというポイントです。
また診療記録がどのように扱われているのか気にする患者様も少なくありません。
そうした質問にきちんと答えられることで、お互いの信頼にもつながります。
今回は、そんな「電子カルテの保存期間や紙カルテとの細かい違い」について改めて解説します。
電子カルテは何年保存しないといけない?
電子カルテの保存期間は、法律で最低5年間です。
しかしこれは最低限の期間であり、病院やクリニックが独自に長期間にわたり保存することも珍しくありません。
また訴訟など特別な事情が発生した場合や、患者様の要望も考慮されるべきであるため、慎重な管理が求められます。
(参考:https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/001230827.pdf)
電子カルテも紙カルテも保存期間は一緒?
電子カルテと紙カルテの保存期間は、法的には同じく5年間とされています。
しかし電子カルテの普及に伴い、データの長期保存が技術的に容易であることから、永久保存を推奨する意見もあります。
さらに紙カルテを長期間保存することには、以下のようなデメリットがあります。
・かさばるため、大量の保管場所が必要
・必要な情報を探すのに時間がかかる
・水害や災害、盗難などでカルテが失われる可能性がある
・時間とともに劣化し、破損したり読み見くくなったりする可能性がある
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電子カルテの正しい保存方法
電子カルテのデータをしっかりと保存・管理することは、患者様の大切な情報を守るためにも、また医療現場における信頼性を保つためにも欠かせないポイントです。
電子カルテの保存においては「真正性」「見読性」「保存性」の三原則を確保することが基本です。
ここではそれぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
真正性の確保方法
まず電子カルテの真正性を確保するためには、データの改ざんや不正アクセスを防ぐための対策が必要です。
例えば電子カルテへのアクセス権限を各スタッフの役職ごとに設定し、限られた人のみが必要な範囲でアクセスできるように管理することが基本です。
また誰がいつどのようにデータを閲覧・修正したかを記録する「ログ管理」機能も大切です。
これによって各操作の履歴が明確になり、万が一のトラブル発生時に責任の所在がはっきりします。
さらに定期的にシステムのセキュリティ状況を確認するための内部監査や外部監査を行うことで、システムの弱点や改善点を早期に見つけ、セキュリティ体制をより強固にすることができます。
見読性の維持方法
次に見読性を維持することも電子カルテの長期保存において大切なポイントです。
電子カルテが必要な時に適切に読み取れる状態で保存されていなければ、患者さんの情報を的確に活用することが難しくなります。
まずデータ保存の際には統一されたフォーマットで保存するようにし、将来的にシステムを変更することになってもデータの互換性が保てるように配慮することが望ましいでしょう。
またカルテ内の情報に迅速にアクセスできるよう検索機能を整備しておくと、診療や事務作業がスムーズに進むため、患者さんにもより迅速な対応が可能になります。
そして電子カルテが見読性を保ち続けるためには、システムのバージョンアップやサポート終了に伴うデータ形式の変換や移行も必要です。
こうしたデータの移行やフォーマットの変換を計画的に行う準備を進めておくことで、将来のトラブルを未然に防ぐことができます。
保存性の確保方法
最後に、電子カルテの保存性についても考慮が必要です。
データを長期間保存するためには、災害やシステムトラブルによるデータ消失のリスクを最小限に抑える対策が欠かせません。
電子カルテのデータは定期的にバックアップを取るようにし、可能であれば毎日のバックアップが理想です。
またバックアップデータを遠隔地など別の場所に保管する「オフサイトバックアップ」を実施すると、万が一の自然災害や事故による影響を受けずにデータを復元することが可能になります。
さらにデータ保存に使用するサーバーやクラウドストレージのセキュリティ対策も強化しましょう。
ファイアウォールやウイルス対策ソフトの導入、暗号化技術を活用した不正アクセスの防止など、総合的な対策が求められます。
関連記事: 電子カルテの義務化はいつから?導入手順についても解説!
紙カルテの正しい保存方法
紙カルテの保存には電子カルテとは異なる注意が必要です。
紙という物理的な媒体であるため、保存環境や劣化防止のための工夫が不可欠です。
ここでは、紙カルテの長期保存において重要なポイントをわかりやすくご紹介いたします。
適切な保存環境の整備
紙カルテは、湿気や温度の変化によって劣化しやすいため、保存環境を適切に整えることが第一です。
湿度が高いとカビや虫が発生するリスクがあるため、湿度管理がしやすい場所での保管が望ましいです。
温度も極端に高くならないように調整し、長期間保管しても変質しないよう配慮しましょう。
これにより、紙の劣化を最小限に抑えることが可能です。
整理と管理を徹底する
紙カルテは増えていくと保管スペースがかさみ、必要な情報に迅速にアクセスするのが難しくなるため、体系的な整理が重要です。
カルテを診療日や患者名などで分類し、定期的に見直して再整理を行うと、必要な際に迅速に取り出せるようになります。
さらに物理的な管理だけでなく、どこに何が保管されているかが一目でわかるような台帳やリストの作成も効果的です。
防災対策と定期的な点検
紙カルテは火災や水害などの災害によって消失のリスクがあるため、しっかりとした防災対策が欠かせません。
火災を防ぐために防火設備を整え、紙カルテを保管する場所には消火器を設置するなどの対応を行いましょう。
防水シートや保管棚を活用して、万が一の浸水被害に備えることも重要です。
定期的にカルテの状態を点検し、劣化や汚損が見られた場合は早めに対応することで、情報の損失を防ぎましょう。
電子化の検討
紙カルテは物理的な劣化やスペースの問題があるため、スキャンして電子化することで保存を効率化することも可能です。
電子化することでカルテを迅速に検索・閲覧でき、必要な情報にすぐにアクセスできる環境が整います。
電子化する際はデータの真正性を確保するために電子署名やタイムスタンプを付与し、法的にも有効な形で保存できるようにする必要があります。
関連記事: 電子カルテの移行作業はどうする?乗り換えのタイミングや注意点について!
【まとめ】電子カルテは5年間保存しよう!
今回は「【何年保存?】電子カルテの保存期間は5年間?電子カルテも紙カルテも一緒?」について詳しく紹介しました。
医療機関においては、電子カルテも紙カルテも最低5年間の保存が法律で義務づけられていますが、実際にはこの期間以上にカルテを保管することが一般的です。
特定の患者様のケースや法的な問題が発生した場合など、様々な理由で長期保存が必要になることも考えられます。
データとして保管される電子カルテには、紙カルテとは異なるセキュリティやバックアップ対策が必要です。
例えば、定期的なバックアップやデータの暗号化、アクセス管理などは、電子カルテを保管する上で欠かせない要素となります。
また法令に則った管理や、不測の事故に備えた災害対策にも備えておきましょう。
紙カルテの保管には、適切な環境管理が必要ですが、デジタル化しておくことで、災害時のリスク管理にもつながります。
改めて、カルテの管理は患者様の重要な医療情報を確実に守るための様々な工夫が求められる非常に責任のある業務だということが分かりますよね。
より良い医療の提供を目指し、日々進化するカルテの保存管理に臨む姿勢が医療機関には不可欠なのです。